1 同性婚の原告の方が亡くなられた
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筆者:平児
同性婚裁判の原告のお一人が亡くなられた。2月25日の朝日新聞がそう報じている。全力を尽くした裁判の途中に亡くなられたのは、心残りだったろうとご推察する。心からご冥福を祈りたい。
平児も、この裁判には強い関心を持っている。訴訟は、当事者性がないとできないので、原告の方は却下されることを予想した上で婚姻届けを提出されている。朝日新聞の記事によると、届け出のときに区役所の担当者から“結婚記念カード”が発行されて幸せを感じられたという。
なぜ、婚姻届けを受理して、愛し合う二人に“結婚”という形を与えることができないのだろうか。理解に苦しむとしか言いようがない。
2 憲法上も民法上も同性婚は可能
残念なことに、平児の周りにも、「SOGI(LGBTQ)のことは理念としては差別はいけないと分かるけれど、感情的に付いていけない」という人がいる。ヘテロの方に同性を好きになることを感情的に理解して欲しいなどと言っているのではない。ただ、私たちは、そういう人が存在していて、普通のことなんだと分かって欲しいと思っているだけだ。
日本国憲法は、すべての人の幸福になる権利を保障している。その理念に基づいて解釈すれば、同性婚は現憲法の下でも認められると思う。また、憲法の専門家もそう理解するのが通説と言ってよいだろう(※)。この説に自民党は反対しているけれど。
※ 例えば、毎日新聞 2024 年3月 27 日「司法の保守本流が見た同性婚 憲法24条の「両性」は「男女」でなくてもいい 千葉勝美・元最高裁判事」など。
また、民法のどこにも、同性同士の結婚ができないなんて書かれていない。民法の文言を文理的に解釈する限り、同性婚が認められないという結論は出てこないのである。ただ、慣行として認められていないだけなのだ。
3 参考になる動画
同性婚をなぜ認めるべきかについて、とても分かりやすい動画があるから紹介しておこう。ニュージーランドで同性婚を認めた年のモーリス議員のスピーチだ。
※ 2018/03/10 同性婚を認める法案の賞賛されたスピーチ
この法案は当事者からすれば素晴らしいもの。残りの人々からすれば昨日と同じ日々が続くだけ。
なぜ、日本で認められないのだろうか。
ニュージーランドで同性婚が認められて8年。賛成票を投じた際のスピーチが世界中で注目を浴びたウィリアムソン元議員はいま、日本の反対派の議員にこう問いかけています。
— BuzzFeed Japan News (@BFJNews) June 18, 2021
「同性婚を認めた世界のどの国を見ても、あなたが懸念するようなことは起きていない。なぜ日本だけが例外になると言えるのか」 pic.twitter.com/wTSilzIgEF
4 同性婚を認めることと少子化は関係がない
実際には、我が国の世論調査でも、同性婚を認める国民は多数派となっているのだ。同性婚に反対しているのは少数派にすぎないのである。
同性婚を認めたら、少子化が進むと信じているヘテロセクシャルの方にお聞きしたい。もし、目の前に悪魔が現れて(別に神様でもいいけれど)「あなたが、同性と結婚して、一生連れ添ったら日本の子供を数人増やしてあげよう」といったら、あなたは同性と結婚するのですかと。
この質問にあなたが、“ No ”と答えるなら、逆も場合もまた同じなのだ。同性婚を禁止したからと言って、子供の数が増えたりはしないのだ。
むしろ、同性のカップルで養子を育てているケースは多い。これは、異性のカップルが、子供が出来なくて養子を育てるケースとなんら変わりはない。
同性婚が認められないのは、たんに杉田水脈議員のようなアンチ人権派が自民党に多いからだろう。それ以外にあり得ない。であれば、自民党のような人権を否定し、少なくない国民が幸福になることを拒否するような政党には退場してもらうしかない。