世界初の同性婚から20年


世界で最初に同性婚の結婚式が公式に認められたのはオランダで2001年4月1日のことです。2021年の4月は、オランダで同性婚が最初に行われてから20年という節目に当たる年です。

在日オランダ大使館のtweetをご紹介します。

日本においても、人権を守るため、多くの人々の幸福のために同性婚を認めましょう。




1 海外で常識になっていること

執筆日時:

最終修正:

筆者:平児

3月17日の札幌地裁同性婚訴訟(※)でも指摘されているが、世界的にみて同性婚を認めることは普通になっている。

※ 全文が、実務家のための産業保健サイトの「札幌地裁 同性婚訴訟 判決全文」に掲載されている。

MARRIAGE FOR ALL JAPANに世界の同性婚の状況が分かりやすくまとめられている(※)。世界で最初に同性婚の結婚式が公式に認められたのはオランダで2001年4月1日のことである。なお、札幌地裁同性婚訴訟判決文では2000年に認めたとされているが、これは制度が導入された年である。

※ MARRIAGE FOR ALL JAPAN「世界の同性婚」参照。


2 20周年のコーエン氏メッセージ

今年の4月は、オランダで同性婚が最初に行われてから20年という節目に当たる年である。在日オランダ大使館のtweetをご紹介したい。

このtweetの動画の中で、2001年4月1日にアムステルダム市長としてオランダ初の同性婚を実現したコーエン氏は、オランダでは、同性同士の結婚を認めることで、より多様で包括的な社会を実現し、すべての市民の幸福感と安心感を高めることに貢献していますと述べておられる。

そして、同性婚の実現には、多くの人々の長年にわたる努力と忍耐が必要でしたとも述べておられる。同性婚の実現には、それまでのオランダ国民の長年にわたる努力があったのだ。

さすがに、日本政府を批判するようなことは述べておられないが、最後に誰をも排除しない社会を実現するために、共に努力していきましょうと結んでいる。


3 古い因習にとらわれる自民党政権

残念ながら、日本政府の同性婚に対する意識は、世界の常識から20年以上遅れていると言ってよい。杉田水脈議員が新潮45に、SOGI(LGBTQ)に対するヘイトの文章を公表して批判を浴びたことは記憶に新しい。

また、2017年の4月に、竹下亘自民党総務会長は、国賓を招待する宮中晩餐会に関して、(国賓の)パートナーが同性だった場合、私は(晩餐会への出席には)反対だ。日本国の伝統には合わないと思うと発言して、顰蹙を買っている(※)

※ 朝日新聞DIGITAL2017年11月23日「宮中晩餐会の同性パートナー出席、反対」自民・竹下氏」参照。

宮中晩餐会という制度の是非は今はおくとして、ここに招待される国賓には各国首脳や、ノーベル賞受賞者、経済界の重鎮などがおり、同性のパートナーがおられるケースは数多い。竹下氏は翌日になって「言わなきゃ良かった」と漏らしたとされる(※)が、あまりにも考え方が古いのである。

※ 毎日新聞2017年11月24日「「言わなきゃ良かった」同性パートナー発言」参照。

他にもLGBTは趣味と言ったり、LGBTばかりになると区が滅びると言ったり、自民党の国政・地方議会の議員の人権感覚の低さにはあきれるばかりである。


4 日本においても同性婚の早期実現を!

このサイトでも「日本にも同性婚を」でニュージーランドで同性婚を認めた年のモーリス議員のスピーチを紹介しているが、その中で分かりやすく指摘されているように、同性婚を認めることでヘテロセクシャルの方にとっては、何の不利益もないのである。

また、日本国憲法を変えなくとも同性婚が認められることは、冒頭に挙げた札幌地裁判決でも指摘されており、憲法学者にとっても通説だと言ってよい。同性婚の障害になっているのは、たんなる偏見と差別に過ぎない。

日本においても、20年以上遅れているこの現状を解消するための努力が必要だろう。