1 二階自民党幹事長が、河井元法相の法違反を「他山の石」と発言
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筆者:平児
Twitterでハッシュタグ「#他山の石」がトレンド入りした。
これは、元法相の河井克行氏が公職選挙法違反に問われた件で、自民党幹事長の二階俊博氏が、「党としても他山の石としてしっかり対応していかなくてはならない」と発言したことを受けてのものである。
さすがに「他山」はないだろう。いくら離党した人物とは言え、犯罪行為を犯したとされる時点では、自民党政府の重要な閣僚ポストだったのである。しかも、ばらまいた買収資金の原資は党本部の原資だという証言もある(※)のだ。
※ 時事通信2月9日記事「買収原資「党本部の資金」 元会計担当者が供述―河井元法相公判」など。広島県の選挙区支部には、党本部から選挙資金として計1億5000万円が送られ、うち1億2000万円は税金をもとにした政党交付金だった
とされている。
その後も、二階氏やその側近からは「1億5千万円の支出に私は関与していない」、「1億5千万円に『根堀り葉堀り踏み込むな』」などの発言が聞こえてくるのである(※)。党の幹事長が、1億5千万円の政治資金にかかわっていないといわれて信用する国民はいないだろう。また、政党交付金という国民の税金が、犯罪行為に用いられたのであるから、報道機関が踏み込むのは当然である。あまりにも、無責任感覚が強すぎるのである。
※ 朝日新聞DIGITAL5月17日記事「二階氏「私は関与していない」 河井氏への1億5千万円」、同5月17日記事「二階氏側近、1億5千万円に「根堀り葉堀り踏み込むな」」など。
国民の血税である政党交付金を、政権の閣僚が買収行為に使い、しかもそれを幹事長が「他山」のことだと発言し、側近が「根掘り葉掘り踏み込むな」というのだから恐れ入る。
森友、加計、桜と、あまりにも自山の石が多すぎるので、離党した人物のことは他山のことに見えるのかもしれない。それとも、本当に「他山の石」という日本語の意味を知らなかったのか。
2 佐藤勉総務会長は「党への影響がなければ、それにこしたことはない」
また、自民党の佐藤勉総務会長は、少なくとも党への影響がなかったという結果が出れば、それにこしたことはない
(※)と他人事のような発言をしている。記者会見で、党への影響を問われて答えたもの。
※ 朝日新聞DIGITAL3月23日記事「克行氏の辞職表明「当然。罪は償うべき」 自民総務会長」による。
要は、「自分たちの問題であるととらえ、真摯に反省して再発防止対策を考える」などという気は全くないのである。他人が犯した犯罪としか思っていない。だが、買収資金を提供し、客観的にみて買収行為を幇助したのは自民党本部なのである。
3 自民党政権は交代させなければならない。
それにしても、二階幹事長にしても佐藤総務会長にしても、自民党がここまで国民をないがしろにする理由は何だろうか? 平児は、小選挙区制度のためだと思っている。小選挙区制度のために、自民党は、選挙の得票率で相対多数さえ確保できれば、議席数で絶対多数を確保できるのである。しかも、候補者を選ぶ権限を持つ党本部が、議員に対して強力な力を持つようになってしまったのだ。自民党議員は、本部に叛旗を翻すことができないのである。
それにしても、自党議員の不祥事に「他山の石」などという言葉を使えば、批判されることは分かりそうなものだが、そんなことさえ気にしないのである。あきれるより他はない。
最後に文化庁のサイト「他山の石」を紹介しておく。もしかして、二階氏はこの言葉の意味を知らなかったのだろうか?
二階さん、老婆心ながら教えてあげますけど、こういう場合にあなたが使うべき正しい言葉は、
「党としても同じ穴の狢としてしっかり対応していかなくてはならない」
ですよ。