朝日新聞への名誉毀損事件


小川榮太郎氏の著書が朝日新聞社の名誉を棄損しているとして、東京地裁で損害賠償を命じられました。

朝日新聞の森友・加計学園事件に関する報道を、「虚偽」「ねつ造」などとしていた小川氏の著述の方こそ「虚偽」「ねつ造」であると認められたのです。

安倍晋三前総理が、公私を混同して政府機関や国民の財産を私物化したものであることが鮮明になったといえます。




1 小川榮太郎氏の著作に損害賠償命令

執筆日時:

最終修正:

筆者:平児

このサイトでもすでに「真実性がない名誉棄損の書籍を大量に購入した自民党」で、お知らせしているが、小川榮太郎氏の著書が朝日新聞社の名誉を棄損しているとして、東京地裁で損害賠償を命じられている(※)

※ 全文を当サイトの「東京地判令和3年3月10日朝日新聞への名誉毀損事件判決(全文)」に掲載している。

この判決を読むと、被告側(小川榮太郎氏と出版社)は、ほとんど反論らしい反論をしていない。判決文も13の論点中の12の論点について「被告らはこれを具体的に主張立証しない」「真実であるとは認められない」「いずれも虚偽のものであることを認めるに足りる証拠はない」などとして、小川氏の著述が証拠に基づかずに、朝日新聞の記事を「ねつ造」「虚偽」などとしたものであると認めている。

※ 関心のある方は、上記リンク先の判決文の「第3 当裁判所の判断」の「2 摘示事実文は前提事実の真実性及び相当性(争点3)について」の(3)のアからス(21頁以降)を参照されたい。

要は、朝日新聞の森友・加計学園事件に関する報道を、「虚偽」「ねつ造」などとしていた小川氏の著述の方こそ「虚偽」「ねつ造」であると認めたのである。

小川榮太郎氏は、安倍政権の“知的”ブレーンの一人と目され、安倍政権を熱烈に支持する立場の雑誌である“HANADA”や“Will”にもよく執筆していた人物である。この判決は、安倍政権を支えていた“知的”ブレーンのレベルがどの程度のものかを、改めて国民に示した形となった。


2 判決文で、鮮明になる森友・加計学園事件の疑惑

判決問は森友問題について、判決理由の中で次のように述べている。いずれもよく知られた事実であるが、判決文は、あらためてこれを真実として認めて、今回の判決を下したのである。

【判決文より】

森友問題については,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,3年間で 36 件あった近畿財務局管内での随意契約による国有地の売却案件のうち,代金額が開示されなかったのは本件土地の売却のみであったこと,籠池理事長が認めた本件土地の売却代金が,路線価に基づく固有財産台帳の台帳価格や,豊中市に売却された隣地と比較すると顕著に低額であったこと等(甲 2,乙 7),森友学園に不当に有利な条件で本件土地が売却されたのではないかとの疑念を生じさせる原因となり得る事情に加え,森友学園が本件土地上に開校する予定の小学校の名誉校長が昭恵夫人であったという,安倍首相らと森友学園との関係性をうかがわせる事情が認められる。また,佐川理財局長が予算委員会での質疑に政府参考人として答弁し,本件土地の売却の経緯が一定程度説明された後も,籠池理事長は証人として「昭恵夫人から・・・(中略)・・・口止めとも取れるメールが届きました」(乙 5),「財務省の方に多少の動きをかけていただいた」(乙 6)等,昭恵夫人の関与を疑わせる内容の証言をしたことが認められる

※ 「東京地判令和3年3月10日朝日新聞への名誉毀損事件判決」より。下線強調は引用者

一方、加計問題についても、判決理由の中で次のように述べている。これもよく知られた事実ではあるが、このように判決文で改めて認定されると、やはり重みが出てくる。

【判決文より】

加計問題についても,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件区域計画の認定について,事業者が1校限りとされ,地域も獣医学部の空白地域に限られたため,他の学校法人が獣医学部の新設を断念した経緯があることに加え,加計理事長が安倍首相の知人であったという安倍首相と加計学園との関係性をうかがわせる事情が認められ,現に野党議員からは,政府が加計学園に特別の便宜を図ろうとしたのではないかとの指摘があったことが認められるし(甲 24 の 1),その後,「これは官邸の最高レベルが言っていること」(甲 10),「総理のご意向だと聞いている」(申 14)等の記述のある本件文科省文書が発見された

※ 「東京地判令和3年3月10日朝日新聞への名誉毀損事件判決」より。下線強調は引用者

平児としては、公私を混同して政府機関や国民の財産を私物化したものと考えている。国会で数多くの虚偽答弁をして、逃げ回っている安倍前総理とこれを支えている自民党に対しては、投票をしないという形で対応することが正しい在り方だと思っている。