9条改悪より交流の促進を


1 初めに(続き)

(3)安保条約をめぐるフェイク

ア 安保条約では米国は日本を守る義務はない

さらに言えば、日米安全保障条約では、日本が攻め込まれた場合に、米国には、攻め込んだ国家とただちに交戦することは義務付けられていないのである(※)。米国が日本に攻め込んだ国家と戦争を行うためには米国議会の承認が条件となるのだ。そして、米国議会が日本のために戦争をすることを承認することなど、まずあり得ないだろう。

 日米安全保障条約第5条第1項は「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」とある。要するに、米軍が日本への攻撃に反撃するためには、米国憲法上の規定に従い米国議会の承認を得る必要があるのだ。

イ 日本に攻め込む国など存在しない

また、それよりも前に日本にどこかの国が攻め込むことなど絶対にありえないと言ってよい。日本攻め込むことが可能な軍事的能力と地勢の存在する国家は米国以外にあり得ないのである。

こういうと、ロシアはどうだとか、中国はどうだと思われるかもしれない。しかし、旧ソ連時代にアジアの小国アフガニスタンへ攻め込んで、結局退却したのはどこの国だろうか。また、ベトナムへ攻め込んであっさりと敗走したのはどの国家だったろうか。

しかも、日本の周囲には海があるのだ。軍隊と装備品を船で運ばなければならないのである。制海(※)を握ったとしても、他国を支配できるだけのものを運ぶというのは簡単ではないのだ。

 近年では第二次世界大戦中とは異なり、「制海権」という言葉は用いられず「制海」という用語が用いられる。

また仮に日本を占領できたとして、いったいどんな利益があるというのだろうか。日本には資源もなければ、食料の自給すらできないのである。しかも、他国に占領されれば、海外との物流は途絶するから製造業もあっというまに操業できなくなる。これは、サービス産業も同様である。

従って、日本国民を飢えさせないためには、自国から大量の食糧を持ち込むという大きな負担を強いられるのである。それに見合う利益がどこにあるだろうか。

しかも、攻撃しただけでも、国際世界から強硬な猛批判を受けることとなるだろう。批判だけならよいが、まず間違いなく徹底した経済制裁が行われる。そうなればその国の経済は完全に冷え込むだろう。要するに、日本に攻め込む利益などないのである。