4 最後に=それでも可能性は大きい
(1)SNSの活用に何をなすべきか
SNSを政治的な発信に活用するために必要なことの基本は3点である。SEO対策(検索で上位にヒットさせる)、視聴したいと思わせる画面作り(来た視聴者を離さない)、説得性があり特に知識がなくても納得できる説明の3点である。もちろん、視聴したいと思わせる画面作りで、説得性のある内容であれば、それはSEO対策にも有効となる。
さて、本稿の1の(2)で紹介したいくつかの個人サイトは、この3点について成功している例だと言ってよい。ただ、これは誰にでもできることではない。みーちゃんの政治チャンネルのアバターやバックを流れる音楽はかなりのレベルであり、高度の知識がないとこのレベルのものを造ることは困難だろう。また、かなりの量の文献をリサーチして、分かりやすく説得力のある説明としているが、これもかなりの能力と時間が必要となる。簡単なことではないだろう。
YouTubeで、たんに字幕が動いているだけの動画を見かけることがあるが、文字だけならブログの方が見やすい。これではいくら内容がよくても、視聴者はすぐに離脱してしまう。観たいと思わせる画面作りができていなければ、信用もされないのである。
また、当然のことながら、反対派を含めて見る人を反発させるような表現を用いるべきではない。いったん離れた人々は、二度と帰っては来ないからである。ワラしがみ氏は、この点についてかなり気を遣っておられるようだ。さらに言えば、あまり長くならないことも重要である。20分以上の動画を観るのは熱心な支持者だけである。そのようなものも必要かもしれないが、それだけでは支持は広がらない。
(2)SNSの社会的少数者にとっての可能性
確かに、一般の視聴者がみたいと思う動画や、拡散したいというSNSの記事は、自民党が参院選で行ったように、一定の費用をかけないと難しいかもしれない。
また、ツイッターは政治的な発言をするアカウントにシャドウバンをかけることがあり、SNSを用いた政治的な発言には一定のリスクがあるのかもしれない。このような傾向は他でもあるようだ。偶然かもしれないが、私のサイトさえ参院選の公示の直前に、あるレンタルサーバからの被リンク数が激減し、参院選後に復活するという奇妙な現象があった。もっともリンクを受けているページは、政治的な内容などまったく含んでいない特定のページである。
しかしながら、一般の個人や社会的な少数派が、htmlに関する知識がなくても、対外的な発信ができるというSNSが、大きな可能性を含んでいることは間違いのない事実であろう。私個人は、「実務家のための労働安全衛生のサイト」と、この友人とのコラボサイトである「平児の社会と政治を語る」の2つの従来型サイトをネット上の本拠地として、ブログとSNSには補助的にのみ使っているが、そこは様ざまな発信の形態があってよいと思う。