9条改悪より交流の促進を



4 最後に

(1)安倍総理の言う日本人を守るとはどういうことか

アメリカのいいなりになってイラクに自衛隊を送り込んだために、日本人が人質にされ殺害されたことを忘れてはならない。

日本人が殺害されるケースはその後も増えている。これは、中東において信頼を勝ち取っていた日本という国家が、歴代自民党政権によって敵性国家と考えられるようになってしまったからである。


(2)日本人は、米国の世界戦略に組み込まれることの意味を理解できているか

中東では、今我々がこうして平和に暮らしているときも、内乱によって、あるいはイスラエルによって多くの人々が殺害されている。内乱の直接の原因の一端が米国にあることはいうまでもない。また、イスラエルが殺害しているのは、テロリストなどではなく、罪もない若者たちや女性や子供なのである。

パレスチナの人々は、家族や友人・知人をイスラエルによって殺害されている。イスラエルに対する怨嗟の声は大きいものがある。だからこそイスラエルは巨大な軍事国家であることをやめることができないのである。

そして、イスラエルを支持する米国や、米国を受け入れているサウジアラビアもまた、アラブの多くの人びとの怨嗟の対象になっているのだ。そして、意図的だとは思わないが、米国もまた多くの非戦闘員であるアラブ人を殺害している。

日本人は、テロによって米国で3,000人の市民が殺害されたとき悲憤を感じた。もちろんそれは正しい感情である。市民に対するテロなどは、絶対に許されてはならない行為である。

だが、ガザでイスラエルがさらに多くの市民を殺害していることを知ろうとはしない。そして、米国がアラブでどのような感情を持たれているかも知ろうとはしない。


(3)安倍改憲は、中東における米国の戦争に協力することだ

安倍総理は、9条改悪や戦争法の成立、集団的自衛権の容認を国民を守るためだと言っている。

だが、日本に外国が攻め込んでくることなど、本稿で説明してきたように現時点では絶対にありえない。

あり得るのは、安倍総理が口に出す「テロとの戦い」であろう。だがテロとは何だろう。テロとは米国またはその同調国に反対する集団が行う非合法又は合法な攻撃や殺人である。では、「正義の戦争」とは何だろうか。アメリカとその同盟国家が行う、テロリスト及びその周辺にいる民間人への攻撃や殺害である。

 米軍がイラクに攻め込んだとき、イラク人が米軍に自爆攻撃を仕掛けたことがあった。米軍は、この攻撃をテロと呼んだ。しかし、これはどうみても合法的な攻撃である。

テロも「正義の戦争」も許されない。「正義の戦争」によって身近な人々を殺害された憎しみと悲しみがテロを呼び起こし、テロを封殺するために「正義の戦争」が行われる。憎しみの連鎖を断ち切ることこそが何よりも重要なのだ。

また、米国が中東の「正義の戦争」で日本人を守ったなどという話も聞いたことがない。明確な事実は、日本人の人質が殺害されたとき米軍はなにもしなかったということである。

安倍総理の言う「テロとの戦い」とは、日本人を守ることではなく、まさに憎しみの連鎖に参入することなのである。


(4)日本人を守るために必要なことは何か

日本人を守るために必要なことは何か。それは、第一にはも民間レベルでの諸外国との友好関係を築いてゆくことである。韓国旅行をして韓国人と触れ合うことから始めてもいい。彼らもまた我々と同じ感情を持った人間なのだと肌で知ることだ。

次に重要なことは、日本の歴史を学ぶことだ。これだけ騒がれていても町の本屋には強制連行に関する文献がほとんど出ていない。出版社も出版する気がないのだろうが、それは日本人が関心を持とうとしないからである。まず、事実関係を知ることだ。なぜ、韓国人が怒っているかを知る必要があるのだ。

また、中東で何が起きているか、ガザで何が起きているかを知ってほしい。安倍総理が協力しようとしている米国やその同盟国であるイスラエルが何をしているかを知ってほしい。海外派遣や集団的自衛権容認で、米国と協力するということがどういうことかを知ってほしい。

フェイクを振りまく安倍首相のいうことをそのまま信じてはならない。まず、事実関係を知ることだ。なぜ、韓国人が怒っているか、なぜ集団的自衛権が問題なのかを知る必要がある。

そして、憲法改悪反対の声を上げよう。そして安倍政権に“NO”を突きつけよう。それこそが日本人を守ることにつながるのである。